新品の革靴を履いたとき、「足が痛い」「つま先が当たって辛い」と感じたことはありませんか?
この記事では、革靴がきつく感じる原因を明らかにし、その痛みを和らげる5つの方法と、硬い革を柔らかくする便利アイテムをご紹介します。
デリケートクリームで革靴全体をケア

新品の革靴は革がまだ硬く、自分の足に馴染むまでにはどうしても時間がかかります。せっかく気に入って購入した靴なのに、すぐに快適に履けないのは少し残念に感じてしまいますよね。
そんなときは、まずデリケートクリームを革靴全体にたっぷりと塗ってみましょう。革は水分を含むことでふっくらと柔らかくなり、足に当たる感触もやさしくなります。これは、新品の革靴を履き下ろす前に行う「プレメンテナンス」と同じ原理です。
特に効果的なのが、靴の内側まで丁寧に塗り込むこと。ただし、塗りすぎには注意が必要です。あまりに大量に何度も塗ってしまうと、革が柔らかくなりすぎて型崩れを引き起こす可能性があります。
革靴を柔らかくするメリット・デメリット
革を柔らかくすることで履き心地など良くなることもなれば、やりすぎてしまうことも。
『適度に行うことが大切』と頭に入れておくだけでもデメリットを避けることが出来ます。
メリット
革靴を柔らかくすることでより自分の足にフィットさせることができ、靴擦れや足への負担を減らすことができます。
- 靴擦れ予防
- 足の負担を減らす
デメリット
革靴を柔らかくしすぎるとフニャフニャになり、自分の足にフィットしないどころか見た目も悪くなり、靴として履けなくなる可能性があります。
- フィットしなくなる可能性がある
- 本来の形が損なわれる
革靴を柔らかくする5つの方法
外で履いた革靴には、目に見えない汚れやホコリが付着しており、それが時間とともに頑固な汚れになることもあります。
そのため、革を柔らかくするケアを行う前には、どの方法であってもまずは丁寧に汚れを落とし、靴を清潔な状態に整えることが大切です。
- クリームやオイルで馴染ませる
- 歩いて足にあわせる
- ストレッチャーを利用する
- 革を揉む
- オリーブオイルをぬる
クリームやオイルで馴染ませる方法

革靴を柔らかくするには、専用の革伸ばしクリームやオイルを使う方法が効果的です。これらを塗ったあと、豚毛ブラシでやや強めにブラッシングすることで、クリームが革の繊維にしっかりと浸透し、柔らかくなりやすくなります。
革靴のアッパーや内側
革靴の内側も革素材であることが多いため、外側と同じようにクリームやオイルを塗り広げてあげるのがポイントです。

レザーソール
ソール(靴底)がレザーの場合も同様に、オイルを塗ることで柔軟性が増します。専用のソールオイルがあればベストですが、なければアッパー用に使ったクリームを塗り込むことで代用可能です。
ソールオイルには、革への水分の浸透や劣化を防ぐ効果があるものもあり、革底の硬直を予防・軽減するのに役立ちます。

上記をすでに試してさらに柔らかくしたい
「ホースオイルクリーム」はミンクオイルと同程度の浸透力を持ち、体温で溶けるため非常に塗りやすいという特長もあります。革にしっかりと馴染みやすく、やわらかさを引き出すケアにおすすめです。
歩いて自分の足に合わせる方法

慣れない革靴を履くときは、足に痛みが出る前に歩くのをやめ、少しずつ履き慣らしていくことが大切です。無理に長時間履こうとすると、靴ずれや足のトラブルを引き起こす原因になりますので注意しましょう。
焦らず時間をかけて、革を自分の足に馴染ませていくのがポイントです。実は、履いて歩かなくても、足を入れて脱ぐという動作を繰り返すだけでも、革は少しずつ柔らかくなり、形も足にフィットしていきます。
大切なのは、革靴を「育てていく」という長期的な視点。ゆっくりと自分だけの一足に仕上げていく感覚を楽しみましょう。
アッパーを手でもみほぐして柔らかくする方法
とてもシンプルな方法ですが、革靴のアッパー(甲革)を手でもみほぐすことで、ある程度革を柔らかくすることができます。
ただし、この方法は注意が必要です。力加減や揉み方に慣れていないと、変なシワが入ってしまう可能性があります。一度ついたシワは元に戻りにくいため、慎重に行いましょう。
また、革靴には「芯材(しんざい)」と呼ばれる補強パーツが入っている箇所があります。特につま先やかかとなどは芯材が入っていることが多いため、その部分は無理に揉まず、避けるようにしてください。
繊細な作業ですが、上手に行えば革が少しずつ馴染み、足あたりも優しくなっていきます。
ソール用オイルやオリーブオイルで革を柔らかくする方法

ソール用オイルやオリーブオイルを革に塗ることで、革がふっくらと柔らかくなり、しなやかさが増します。とくに、レザーソールやアッパーの乾燥が気になるときに効果的です。
ただし、オリーブオイルは想像以上に革を柔らかくしてしまうことがあるため、まずは少量から慎重に塗り始めるのがポイントです。塗りすぎると型崩れや過剰な油分によるトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
使用する際は、清潔な布や指先で薄く塗り広げ、よく馴染ませてから自然乾燥させましょう。

シューストレッチャーで革を伸ばす方法
「シューストレッチャー」と呼ばれる専用の器具を使えば、革靴の内側から物理的に革を広げることができます。
きつく感じる部分に直接圧力をかけて革を伸ばすため、特にサイズが合わずに痛みを感じる場合に効果的な方法です。
ただし、一気に強く伸ばそうとすると革に無理なシワが入ったり、型崩れの原因になることがあるため、少しずつ段階的に負荷をかけるのがポイントです。
十分に柔らかくするには、「1日伸ばす→試し履き」のサイクルを数日かけて繰り返すのがおすすめです。靴のサイズや革の厚みによっては、馴染むまでに時間がかかることもあります。
さらに、この記事で紹介している他の革を柔らかくするケア方法(クリームやスプレーなど)とシューストレッチャーを併用することで、より効率よく革を柔らかく仕上げることができます。
革靴をクリームとオイルで柔らかくする手順

以下の3つを準備しましょう。
・革用のクリームやオイル、ワックス
・きれいな布
・柔らかくするケア用品
手順

あまり揉みすぎてしまうと、変なシワが入ってしまうことがあるため、甲周りを少しだけみほぐします。

中のインナーの革が汚れてしまうので、クリームのついていない内部からデリケートクリームなどを塗ります。

ムラにならないよう満遍なく塗ります。

ボトルの口に布で蓋をして染み込ませると適量とることができます。

ソール用オイルがない場合は、オリーブオイルで代用しましょう。

室内で履く際は、硬いソールで床を傷つけてしまたり、逆に革靴に傷をつけてしまうので、何か敷いて履くようにすることをおすすめします。

さらに革靴を柔らかくするおすすめの3アイテム
クリームやソールオイルを使った基本的なケアである程度は柔らかくなりますが、
**「もう少し足あたりを優しくしたい」「特定の部分だけもっと柔らかくしたい」**という場合には、専用のケアアイテムを活用するのがおすすめです。
ここでは、革靴をさらに快適に履きこなすための厳選アイテム3つをご紹介します。
モゥブレィ ストレッチミスト
革靴のきつさや痛みに悩んでいる方から高い評価を得ているのが、モゥブレィの「ストレッチミスト」です。
スプレーするだけで革がほんの少しずつ伸び、「柔らかくする」というよりも、“足に合わせてなじませる”ような効果が期待できます。
実際に使用したその日から履き心地の変化を実感する声も多く、靴擦れや圧迫感が気になる方には特におすすめのアイテムです。
コロニル ストレッチムース
1909年創業のドイツ発ブランド「コロニル」は、世界約100カ国以上で愛用されている老舗のレザーケアメーカー。
その中でも「ストレッチムース」は、革靴の特定の部位をやさしく部分的に伸ばしたいときに最適なアイテムです。
特に、甲の部分や関節が当たって痛い箇所など、局所的な圧迫感が気になる方におすすめです。
ムース状なので液だれしにくく、狙った部分にしっかりと定着しやすいのも魅力。

ダスコ シューストレッチスプレー
1946年にロンドンで誕生した「DASCO(ダスコ)」は、数々の高級紳士靴ブランドからも信頼を寄せられている老舗のシューケアブランド。
その「シューストレッチスプレー」は、革をやわらかくしながら自然に伸ばすことができる皮革柔軟剤です。
使い方も簡単で、靴の内側にスプレーしてから歩くことで、革が足の形に合わせてじわじわと馴染んでいきます。
きつめの革靴に悩んでいる方にとって、無理なく自然にフィット感を得られる心強いアイテムです。
革靴を柔らかくする際にやってはいけないNGな方法
革靴を早く柔らかくしたいあまりに、ネットやSNSなどで見かけた方法を試してしまう人もいますが、一歩間違えると革を傷めてしまう危険性があります。
ここでは、絶対に避けたいNG行為を3つご紹介します。
NG①:ドライヤーの熱風を当てる
革靴にドライヤーの熱を直接当てて柔らかくする方法が紹介されることもありますが、これは非常に危険です。
強い熱によって革が極度に乾燥し、表面が硬化・ひび割れの原因になることがあります。
※一部の合成皮革には有効な場合もありますが、その場合でも風を当てる距離や時間に細心の注意が必要です。
NG②:エタノール(消毒用アルコール)で湿らせる
消毒用エタノールを使って革を湿らせる方法も見かけますが、揮発する際に革に必要な水分まで奪ってしまうため、革が乾燥してダメージを受けます。
この結果、柔らかくなるどころかひび割れや色落ちの原因になることがあるため、使用は避けましょう。
NG③:革にとって有害なオイルを使用する
一部の工業用オイルや家庭用オイルの中には、革を分解・変質させてしまう化学物質が含まれているものがあります。
特に以下のようなオイルには注意してください:
- 松根タール
- ひまし油(キャスターオイル)
- 鉱油(ミネラルオイル)
これらは、革の繊維を破壊して取り返しのつかないダメージを与える可能性があるため、絶対に使用しないようにしましょう。
革靴を柔らかくしすぎてしまった場合の対処法
革靴を足に馴染ませるために柔らかくするケアはとても大切ですが、やりすぎて革が必要以上に柔らかくなってしまうと、型崩れやフィット感の低下につながることがあります。
まず大切なのは、柔らかくしすぎないよう、ケアの段階で適度な調整を心がけることです。
もしすでに柔らかくなりすぎてしまった場合は、無理に硬化させようとせず、まずは靴の形をしっかりと整えた状態で、風通しの良い場所に置き、時間をかけて自然に乾燥・定着させるのが最も安全でおすすめの方法です。
自分で直す
「硬化剤を使用する」「丸洗いする」といった方法も存在しますが、革にダメージを与えるリスクが高く、扱いにも高度な知識が必要です。
靴の修理店に依頼して直す
どうしても改善が難しいと感じた場合は、プロの靴修理店やクリーニング店に相談して、丸洗いや型直しを依頼することも検討してみましょう。
その上で、自分でケアを行うかどうか、慎重に判断することが大切です。
革靴はデリケートな素材です。短時間で柔らかくしようとするよりも、正しいアイテムと手順で、少しずつ丁寧に馴染ませていくことが、結果的に長持ちにつながります。
まとめ

革靴を足に馴染ませるための第一歩として、まずはデリケートクリームを革靴全体に塗ってみましょう。
革にうるおいを与えて柔らかくし、足当たりがやさしくなるため、最もリスクの少ない方法としておすすめです。
それでもまだ履きづらさが残る場合は、専用のクリームやオイルを使いながら、シューストレッチャーを併用し、少しずつ履く時間を延ばしていくのが効果的です。
最初は無理に長時間履こうとせず、「履いて脱ぐ」だけでも十分に馴染みの第一歩になります。
無理して我慢するのではなく、時間をかけて革靴を育てる気持ちで、丁寧にケアを続けましょう。
また、ここまでご紹介した方法を試しても痛みが続く場合は、リペアショップなど専門家に相談してサイズ調整を依頼するのも一つの手です。
そもそも無理のないサイズを選ぶことも、革靴を快適に楽しむためにはとても大切です。