箱から出したばかりの革靴は、すぐにでも履いて出かけたくなります。
その前に少しだけ、革の状態と足の収まりを確かめておきたいところです。
プレメンテナンスは、新品の革靴を履き始める前に行うお手入れです。
基本は、素材と状態を確認し、ほこりを払い、必要に応じて薄く保革すること。
クリーナーや鏡面磨きまで、最初からすべて行う必要はありません。
この記事では、一般的なスムースレザーの革靴を想定して、履く前の確認と手入れの順番、私が使ってきたケア用品を紹介します。
プレメンテナンスは必要?まず新品の状態を見る

新品でも、製造から購入までの保管期間や仕上げは一足ずつ違います。
乾燥が気になる靴もあれば、購入店で手入れを済ませたばかりの靴もあります。
まずは購入店の案内を確認し、その一足に必要な手入れを選びましょう。
見た目を大きく変えるより、これから履く靴の状態を知ることを大切にします。
きれいに仕上がった表面のクリームを、必ず落とし直す必要はありません。
クリームを塗る前に、素材とサイズを確認する


スエード・ヌバック・エナメル・コードバン・合成皮革は、このあと紹介する手順をそのまま当てはめず、それぞれの素材や仕上げに合う方法を確認してください。
靴に何かを塗る前に、室内で甲・幅・かかとの収まりを確認します。
強い痛みや圧迫感がある場合は、そのまま履き慣らそうとせず購入店へ相談しましょう。
お手入れでサイズや木型の不一致まで解決できるわけではありません。
交換を検討する場合も、屋外で履く前・クリームを塗る前に購入店へ確認します。
足当たりの見分け方は、革靴が痛い・きついときの対処法で整理しています。
新品の革靴のプレメンテナンス|基本の5手順
用意するのは、ほこり払い用の馬毛ブラシ、きれいな布、必要に応じて革に合うクリームと仕上げ用ブラシです。
クリーナーは汚れ落としが必要な場合だけ使います。
1.靴ひもを外し、手入れしやすい形に整える

靴ひもを外すと、羽根の裏やベロまで確認しやすくなります。
シューツリーを使う場合は、靴に合う形・サイズのものを無理のないテンションで入れましょう。
幅や甲を強く押し広げるものは避けます。
どのサイズを選ぶか迷う場合は、シューツリーの選び方と入れ方をご覧ください。
2.馬毛ブラシでほこりを落とす

靴全体を優しくブラッシングします。靴ひもの周り、ベロ、アッパーとコバの境目も確認しましょう。
表面を強くこすって仕上げを落とす工程ではありません。
3.汚れが残る場合だけクリーナーを使う

新品でも、保管や試着による汚れ、仕上げのクリームのべたつきが気になる場合があります。
ブラッシング後も汚れが残るときは、その革に使えるクリーナーを少量布に取り、目立たない場所で試してから優しく拭き取ります。
表面がきれいなら、この工程は省けます。
使う場面と商品の違いは、靴クリーナーの使いどころと選び方にまとめています。
4.必要に応じてクリームを薄く塗る

乾燥が気になる場合は、革に合うクリームを少量ずつ、薄く均一に伸ばします。
布や塗布用ブラシを使い、一か所に厚く残さないようにしましょう。
使用量や乾燥時間は製品の案内に従います。
保革と自然な質感を重視するならデリケートクリーム、保革に加えてツヤを整えたいなら靴クリームが候補です。
普段の靴クリームで状態が整うなら、デリケートクリームを重ねることは必須ではありません。
新品の色を補う必要がなければ、ニュートラルも選択肢です。
ただし無色でもシミや色の変化が出ないとは限らないので、先に目立たない部分で試します。
履きジワが寄る部分も薄く塗ります。
クリームを多く入れれば、好みのシワが入るというものではありません。
5.ブラッシングと乾拭きで仕上げる

靴クリームを使った場合は、製品の案内に従ってなじませてから、豚毛などの仕上げ用ブラシで全体をブラッシングします。
最後にきれいな布で余分なクリームを拭き取り、べたつきが残っていないか確認しましょう。
ここまでで普段履きの準備はできます。
鏡面仕上げは、さらに光沢を出したいときに加える工程です。
内側と靴底は、素材と状態に合わせて手入れする
内側の革|新品なら塗布を必須にしない

内側は、革・布・合成素材のどれが使われているかを確認します。
革のライニングで乾燥や硬さが気になる場合は、その部位に使える保革用品が選択肢になります。
新品で状態が整っているなら、内側にまで一律に塗る必要はありません。
使う場合は少量にとどめ、べたつきや靴下への色移りがないか確認してから履きます。
当たりが強い場所に大量に塗っても、靴ずれの解決になるとは限りません。
詳しくは革靴の内側のお手入れをご覧ください。
靴底|ラバー底に保革用オイルは塗らない
ラバー底には保革用のオイルやクリームを塗りません。
革底も新品のうちから一律に油分を足すのではなく、必要な場合だけ革底用の製品を選びます。
塗布量と乾燥時間を守り、柔らかくしようと多く塗るのは避けましょう。
ハーフソールの取り付けを考えている場合は、底に何かを塗る前に修理店へ相談してください。
プレメンテナンスに使うクリームとクリーナーの選び方

ここで紹介するものを、すべてそろえる必要はありません。
保革・ツヤ出し・汚れ落としのうち、今回必要な役割から選びましょう。
M.MOWBRAY デリケートクリーム|自然な質感で保革したいとき
私が初めて購入したクリームの一つです。
さらっと伸ばしやすい感触で、保革を中心に自然な質感で整えたいときの候補になります。
靴クリームのような補色や強いツヤを求めるものとは、使う目的を分けて考えると選びやすいです。
使い分けはデリケートクリームが必要な場面へ。
ツヤや補色も含めて選びたい方は、靴クリームの比較も参考にしてください。
M.MOWBRAY リッチデリケートクリーム|仕上がりの好みで選ぶ
乾燥が気になる革の保革用品を選ぶときの候補です。
通常のデリケートクリームと両方を重ねる前提にせず、対象素材と仕上がりに合わせて選びます。
名前だけで、どちらが自分の靴に合うかを決めないようにしましょう。
ブートブラックのローション|汚れ落としが必要なとき
ブートブラックのツーフェイスローションは、汚れや古いクリームを落としたいときの候補です。
保革クリームとは役割が違うので、新品だからという理由だけで使う工程にはしません。
同ブランドには名称の似た商品もあります。
購入先の商品名・容量・対象素材を確認し、使用方法は手元の製品表示に従ってください。
鏡面仕上げは、光沢を加えたい場合だけ

鏡面磨きは見た目を整える楽しみの一つです。
履き始めるための必須作業ではないので、最初はクリームのツヤで仕上げても十分です。
鏡面磨きの簡単な流れ
行う場合は、芯材が入り曲がりにくいつま先やかかとの範囲にとどめます。
歩くと曲がる甲の部分まで厚いワックス膜を作るのは避けましょう。
- ワックスを少量取り、対象の部分に薄く塗る。
- 一度に厚く盛らず、下地が落ち着く時間を取る。
- 少量の水をなじませたクロスで、力をかけずに磨く。
- 革の状態を見ながら少しずつ重ね、光沢を整える。
使う量や待つ時間も含む詳しい手順は、靴磨きと鏡面仕上げの基本で紹介しています。
ワックスは、下地づくりや仕上げやすさで選ぶ
サフィールノワールのビーズワックスポリッシュは、薄く重ねて下地を作るときの候補。
ミラーグロスも鏡面を作るためのワックスで、使い方はミラーグロスのレビューにまとめています。
私が時短したいときに選ぶ候補はアミラルグロスです。
初心者向けのベース&コートも含め、ワックスの選び方と比較で使う場面ごとに紹介しています。
履き始める前に考えたい、靴底の補強
クリームのお手入れとは別に、歩く場所や靴底の減り方に合わせて補強を検討できます。
最初から両方を取り付ける必要はありません。
トゥスチール|革底のつま先の摩耗が気になる場合

革底のつま先が先にすり減る場合は、トゥスチールが補強の候補になります。
底の摩耗を放置してアッパーまで傷める前に、靴底の状態を確認しておきましょう。
埋め込みタイプは施工技術が必要です。
購入店や修理店に相談し、金具の種類・底の状態に応じた費用を確認します。
金属音や床での滑りも選ぶ際のポイントです。
種類と向き不向きは、つま先補強とトゥスチールの比較にまとめています。
ラバーハーフソール|滑りや摩耗が気になる場合

革底の前足部にラバーを貼り、滑りや摩耗への対策をする方法です。
ただし、すべての床で滑らなくなるわけではありません。
革底の感触と、普段歩く場所での使いやすさを比べて選びます。
施工時は接着のために表面を整えますが、必ず縫い糸を切るとは限りません。
削る範囲が気になる場合は、靴の構造に合う施工方法を修理店へ確認しましょう。
新品のうちに貼るか、少し履いてから判断するかは、ハーフソールを貼るタイミングと判断基準で整理しています。
履いたあとの手入れまで、無理なく続ける

新品の革靴を手にしたときの楽しさは、履き始めてからも続きます。
ほこりを払い、湿気を逃がして休ませ、革の状態に応じて手入れする。その積み重ねで、シワやツヤの変化にも気づきやすくなります。
プレメンテナンスでは、まず素材・サイズ・表面の状態を確認します。
必要なら少量のクリームで整え、ブラッシングと乾拭きで仕上げる。
内側への塗布、革底用オイル、鏡面仕上げ、靴底の補強は、その一足と自分の履き方に合わせて選びましょう。
早く履きたい一足だからこそ、最初に少しだけ観察する時間を。
使う道具を増やすことより、無理なく手入れを続けられることを大切にしたいですね。
